第15話 感じるな、考えろ(キカクシリーズ「岐阜編」)
※イメージ
こんにちは。
<前回までのあらすじ>
社会人2年目の私は、オシャレさに憧れて初任給でMacを購入したものの、YouTubeとZOZOTOWNしか使いこなせない日々に辟易し、「もっとITを駆使している感を醸し出したい」と感じていた。
そこで、
有名IT企業に勤める旧友・二嶋と
(本人のFacebookより引用)
“こだわりの使徒” こと世界と共に、
(本人のFacebookより引用)
観光資源をただ享受して楽しむことよりも、
ITを駆使している感を醸し出すことを目指した
企画シリーズ「思い出よりキカク」を始動。
第2回キカクが終わった折に浮上した「やらせ疑惑」を払拭するため、第3回キカク会議を行なった末、いわばストイック系キカクの王道ともいえる『三十三観音巡り編』が幕を開けた。
3人体制になった我々は当日、恵那駅に集合
するはずだったが、大阪から新幹線で向かっていた二嶋が“新横浜駅まで寝過ごす”トラブルが発生。
さらに二嶋は、そのまま帰省するという暴挙に出た。
(※実際のLINE)
二嶋に失望した私と世界は第1番礼所「東禅寺」を目指し、恵那駅を出発したのである。
※イメージ図
【☞第14話を見逃した方はこちらから】
stepfatherena15.hatenablog.com
*******
ーーー街は年末、空は冬晴れ。
我々は今から2日間かけて、下の地図にある三十三カ所を巡る。
勿論、インチキせずに巡る。
第1番礼所「東禅(とうぜん)寺」には
恵那駅からわずか6、7分で到着した。
到着して、すぐに気付いた。
お寺も年末休みに突入している。
人っ子一人いない。
「まあ、いないよな」
「うん」
「当然(とうぜん)寺」
「やめろ」
世界はおもむろにセットを組み始めた。
そしておもむろに撮り始めた。
本キカク、記念すべき1枚目。
【第1番礼所 東禅寺】
ぱしゃり。
おばさんグループの旅行にありがちなポーズをしながら私は、
もやもや感を抱えていた。
それは、「このキカク、どうすれば面白くなろうか」という問題だ。
そして思う。
「あと32カ所もあるのか」
【第2番礼所 長栄寺】
年末の大掃除をしているお寺の方々を見ながら、
私は心の引っかかりの正体に気付いた。
ーーー「観音様いなくね?」
「あの、すいません」
「」
「観音様ってどこに」
【第3番礼所 高安寺】
「なあ」
「観音様が出てこないのは画的にヤバいぞ」
「うん」
「キカクのタイトル詐欺になってしまうな」
「これでは“お寺の入口写真集編”だ」
「あとさ」
「うん」
「このキカク、多分あんまり面白くないな」
少し話は逸れるが、
きっと誰しも経験したことがある話をば。
日常生活の中で、誰かといて、何かをして
「ここにいるのが自分である必要はあるのか」
と、思い悩むこと。
誰とでも、ディズニーへ行けば夢の国の住人になれる。
誰とでも、ハワイへ行けばのんびりバカンスができる。
それは言い換えると、ディズニーやハワイへ行って楽しむのは誰でも出来るということだ。
(http://curie.trippiece.com/matome/)
そうやってモノコトを消費するだけの日々が肯定される風潮は、人々の生き方をよりスピーディな「充実した毎日の演出」レースへ変えていったように思う。
では「岐阜編」の我々はどうだろう。
「もっとITを駆使している感を醸し出したい」
「娯楽を享受して生きているだけじゃ退屈だ」
何が言いたいかと言うと、
そういう按配でシリーズを始めたはずなのに、
三十三観音編でやっていることは彼らと同じ。
決められた場所を巡り、その証拠写真を撮る。
こんなのちっとも面白くない。
思考放棄していた自身を恥じた。
ーーー我々はキカクに挑戦するため、ここにいる。
そしてこの物語で誰かの気持ちが少しまったりする。
そんなまろやかな瞬間を作り出すことを目指している。
「キカクってなんだったっけ」
初心にかえったとき、肩の荷は下りた。
考えなければ、日々に、些細な心の揺れ動きに
目の前にありふれるモノコトに
面白さを見出すことも、感じることも出来ない。
「撮るぞーう」
【第4番礼所 長国寺】
①IT感を小出しすることにした。
【第5番礼所 大林寺】
②無邪気さも忘れないように。
しかし、そんな我々の牛歩をあざ笑い
そして妨げる存在が1つだけある。
時間という名の悪魔だ。
二嶋の帰省騒動でスタートが遅れたこともあり、
すでに日は傾き始めていた。
「はい、撮るぞ」
「」
【第6番礼所 源長寺】
③結局こうやって雑になる。
長い戦いはまだ始まったばかり。
巡った観音様:6/33カ所
(「岐阜編」第15話 おわり)
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第14話 集合は難しい(キカクシリーズ「岐阜編」)
こんにちは。
<前回までのあらすじ>
社会人2年目の私は、オシャレさに憧れて初任給でMacを購入したものの、YouTubeとZOZOTOWNしか使いこなせない日々に辟易し、「もっとITを駆使している感を醸し出したい」と感じていた。
そこで、
有名IT企業に勤める旧友・二嶋と
(本人のFacebookより引用)
“こだわりの使徒” こと世界と共に、
(本人のFacebookより引用)
観光資源をただ享受して楽しむよりも、
ITを駆使している感を醸し出すことを目指し
企画シリーズ「思い出よりキカク」を始動した。
我々はSkype会議(IT感のある打ち合わせ)を行った末、第3回キカクを「三十三観音巡り編」に決定。
2015年末、3人体制の初陣。
我々は恵那駅集合の日を迎えた。
☞前話を見逃した方はコチラ
stepfatherena15.hatenablog.com
*******
本編を始める前に、皆さんにお知らせがある。
私事ではあるが、iPhone6を購入してから数週間が経った先日、OSをアップグレードしようと試みたのだが、最後の最後で画面がフリーズしてしまった。
(iPhone 6 Plus 64GB Silver (GSM) - Apple)
iOS9ではよく起きるバグらしい。
後学のために情報共有しておくと、「強制起動して、データはバックアップから復元」という対処が“ベターな解決策”とのこと。
ーーー嗚呼、最後のアレは去年の夏だっただろうか。
ーーーひと夏のアレだった。
(iPhone 6 Plus 64GB Silver (GSM) - Apple)
夏以来、データのバックアップをとっていなかった。
なんということだ。
ーーー「バックアップをとっていない」
ITをまるで駆使出来ていないヤツが言いそうなことじゃないか。
というわけで、今回「三十三観音編」で私が撮影した写真のうち、共有ファイルに入れそびれた一部の写真は消えてしまった。
これは致し方ない、苦肉の策。
というわけで、「手描きのへったくそなイメージ図」と「世界の写真」で物語を楽しんでいただきたい。
何卒ご容赦いただきたい。
*******
ここが新しい物語の舞台だ。
前回、3人体制になって初めての打ち合わせを行なった我々だが、予想外にとんとん拍子でキカクが決まったことや、連休をとれる年末年始が近かったこともあり、カカシ編の最終回から約1ヶ月半でこの場所に帰ってきた。
見ての通り、快晴だ。
代わり映えのない景色にも、どこか安心する。
私は少しだけ、恵那駅に受け入れられた気がした。
世界からも、すでに到着しているとの連絡が来ていた。
新潟から5時間、
すさまじい悪路を超えて辿り着いたようだ。
さらに、2人乗りである“群青の彗星”からレンタカーに乗り換え済みとのこと。
私は駅を降りるとすぐ、その姿をとらえた。
世界、恵那初上陸。
「おぉうぃいす」
「久しぶり」
「写真で見てた通りの景色だわ」
「まあ、そうだな」
「なんか感動するな」
「」
まだ二嶋から到着連絡が来ていなかったので、
恒例の“えなてらすチェック”に向かうことにした。
※イメージ図
年末休業だった。
「まじか」
「ココT購入はまたの機会だな」
さて、二嶋の到着を待つだけだ。
すでに予定はかなり押している。
「このままだとスケジュール的に間に合わない」
そんな危機感を抱えながら、待機すること10分。
二嶋から連絡がきた。
「新横浜なう」
「寝過ごした」
「申し訳ない」
「マジで」
「このまま帰省してもいいかな」
ーーー3人体制になるということ。
3人になることで「スケジュールの融通が利きやすくなる」というメリットに気をとられていたが、これは別の考え方をすると「自分1人が行かなくても“キカク”は成立する」ということを意味する。
例)3人いないと成立しないこと
(http://tetsusism.com/ntv-24hour-tv-daigo-marathon-runner-charity-1013)
予想外の形で新体制の問題点があらわになった。
つまりは「一人一人のコミットメントを弱くする」ということ。
(ダチョウ倶楽部の寺門ジモン、お笑いよりも「肉割烹でもやろうかな」 )
私は二嶋に返信をした。
「はい、どうぞ」
コミット云々以前に「こいつ、人としてやべーだろ」と私は思ったが、それが彼という人間なのだと諦めることにした。
我々はお友達ではない、あくまでメンバーなのだ。
そんな中、世界から冷静な指摘があった。
「なあ」
「二嶋が来ないならさ」
「2人乗りの彗星で良かったんじゃね」
「」
ーーームードは最悪。
そして、二嶋のドタキャン以上に我々の空気を重くしていたのが、今回のキカクは2日間かけて「寺を回り続けるだけ」であり、消耗戦の様相を呈することが明らかだった点だ。
「なあ」
「ブログ読んでイイネ!するくらいがちょうどよかった気がしてきたよ」
「社会人の貴重な年末休みだぜ?」
「そうか、世は年末なんだな」
本日、12月29日。
(http://enasan.net/news/005394.php)
情報基地 “えなてらす”はお休み。
駅前にもほとんど人はいない。
「そういえば」
「さっきレンタカー借りにいったとき、店員さんから笑顔で『おかえりなさい』って言われたよ」
「どう考えても帰省だったんだろうな」
「年末に恵那市をレンタカーで観光する人はあまりいないんだろうな」
「恵那市に限った話じゃない気もするけどな」
「てか、よく考えたら」
「おかえりなさいの意味もよくわからねえな」
(http://www.watanabe-glass.co.jp/store/)
もし自分が店員だったら、目の前のお客さんが「貴重な年末休みに、“群青の彗星”で遠路はるばる5時間かけて雪道をくぐり抜け、三十三観音を巡りにやって来た」とは夢にも思わないだろう。
しかし、悲観的なことばかりは言っていられない。
なにしろ今回のキカクは重大なミッションを背負っているのだ。
「にしてもだ」
「今回で“岐阜編”にやらせが一切存在しないことを証明しなければいけない」
「恵那市のイメージにもつながるしね」
「おれらよそ者なのにね」
「そろそろ行くか」
恵那市の冬風の冷たさを感じつつ、
我々は駐車場へ戻り車に乗り込む。
世界のiPodからは、
季節感のないサザンオールスターズが流れ出した。
「第1番、東禅寺だ」
かつてない低空飛行状態から
いよいよ「三十三観音巡り編」はスタートする。
(「岐阜編」第14話 終わり)
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新しいプレゼント交換【前編】(「Tokyo案庵」第2回)
(http://イルミネーションと夜景.com/illumination/0194/)
―――12月、東京のとある夜。
私は1人で考えていた。
ーーー形式化されたクリスマスの過ごし方
特に、クリスマスの恒例イベントとなっている
「プレゼント交換」についてのあれこれ。
(http://conexions.org/archives/3863)
そもそも“プレゼント交換”とは何なのか。
(http://ta-7.com/sasakureboy/1566/)
我々がクリスマスに行う“プレゼント交換”は
大きく5つの要素に分けることが出来る。
これは言い換えると
① プレゼントする相手を認識する
② 受け取った相手が喜ぶ姿を想像する
③ “気持ちがプレゼント☆”はNG
④ 自腹でプレゼントを買う
⑤ 一方通行のプレゼントではない
ということ。
この“プレゼント交換”というイベント、
何度か経験する中で気付いたのだが
“避けられない壁”が2つある。
☞ 1.(3人以上の場合)
大体いらないものがもらえる
(http://girlschannel.net/topics/312406/)
欲しい物が手に入る可能性は0に等しい。
この原因として以下が挙げられる。
・「予算は~円まで」という制限が設けられることが多く、それ以上の値段の物を買うと何かスベった感じになる。
・参加者全員が自分のプレゼントを受け取る可能性があるため、プレゼントのチョイスを無難にせざるをえない。
後日、受け取ったプレゼントはそっと棚の奥。
という経験が皆さんにもあるかもしれない 。
☞ 2.(カップルの場合)
物の価値より存在自体が重い
(http://onecall2ch.com/archives/6685231.html)
・欲しくない物をもらった場合
☞2.は高価格の可能性がある分、余計に厄介である。使っていないこと、気に入っていないことがバレると少なからず相手を傷つけてしまうからだ。
・欲しい物をもらえた場合
☞これは別れた後、厄介になる。
気に入って使っている分、棚の奥には置きにくいものだ。かといって使っていると、事情を知っている友人にとやかく言われる可能性がある。
念のため突破口の参考URLを下記するが、いずれにせよ“プレゼントとしてもらったがゆえに” 心苦しい思いをするのは必至だ。
【参考】
ここで、考えるまま書き込んでいた手が止まった。
ITを駆使している感を醸し出して悩んでみたものの、
とても困った。
というのも、「2人の場合 +3人以上の場合」=全ての場合で「“プレゼント交換”は選ぶのもあげるのも無駄」という結論に至ってしまったのだ。
(http://gori.wa-is.co.jp/?eid=7)
よくよく考えると、いい大人が
「自分の物差しで勝手に選んだモノを人様へ献上する」
「“買ってあげる”という事実で半強制的に私用を促す」
こんなに摩訶不思議なコミュニケーションはない。
「相手が知らなかった物・コトを贈る」という意味で “プレゼント”を贈る文化はとても素敵だと思うのだが。
ーーー“プレゼント交換”はいつ限界を迎えたのだろう。
しかしその一方、こういう見方もできる。
「何もメリットのない“プレゼント交換”が
それでもなくならないのはなぜだろう」
これには2つの理由があると私は考える。
1.「相手を想って選ぶのが楽しい」渡し手の充実感
(http://news.ameba.jp/20151020-824/)
2..“プレゼント交換” 自体のワクワク感
(http://girlschannel.net/topics/147593/)
そして思った。
もはや、交換される“物”は価値の本質でなく、そこに介在する「渡す直前までの準備期間」にバリューがあるのではないかと。
(http://matome.naver.jp/odai/2144844643296452101)
つまり、
プレゼントは渡す必要ないのではないか。
具体的に言うと、
①プレゼント交換をするつもりで相手(複数の場合も有)が喜びそうな物を買う。
②事前に「プレゼント交換はしない」という意向を参加者全員で共有。(サプライズ感のための前フリ)
③当日、実は各自プレゼントを持参しつつもあえて渡さずに会を終え、持ち帰る。
という方法はどうだろう。
※前回の「誕生日編」を経て、“プレゼントはサプライズの方が嬉しい”という事実が発覚したので、当日はプレゼントをちゃんと持参してギリギリまで「渡すんだ」という気持ちで参加するのが望ましい。
【参考】
stepfatherena15.hatenablog.com
そういえば。
今年のクリスマス、特に予定がなかった。
(https://twitter.com/golgosmile)
ので、今回の案をクリスマスに試してみることにした。
相談したのは、同僚の渕上君。
**☆プロフィール☆**
・元ラガーマン
・サックスがちょっと吹ける
・ジャニーズにちょっと詳しい
************
「クリスマスの金曜空いてる?」
「なぜおれに聞く」
「試したい案があるんだ」
「またかよ」
※渕上君は第1回「誕生日」編にも参加し、
“ジェバン二渕上”として会を終始支配した。
とりあえず案の概要を渕上に説明した。
「なるほど」
「これなら全員がいい気分で会を終えられる」
「それってさ」
「うん」
「物を交換しないってこと?」
「うん」
「“プレゼント交換”って言わなくね?」
「相手のことを想ってプレゼントを選んだ上、自腹を切って買うという事実を交換し合っているじゃん」
「あと、わざわざプレゼントを当日持ってきて交換はしないっていう理屈が理解出来ないんだが」
「たとえば、遠足を構成する要素って前日までのワクワクが9割じゃん」
☞ 「まるちゃんは遠足の準備が好き」の巻
「で?」
「つまりピークはいつもコトの手前にあって、世の中の森羅万象はその予定調和だということ」
「深いようで浅いな」
「ありがちな台詞を覆すようだけど、遠足当日の朝から家に帰るまでの時間は、遠足ではなくただの作業だからね」
「つまり、遠足も前日準備までで止めておけば楽しさがピークのまま終われるんだよ。多分」
「なるほど。そういえば、タッチの南ちゃんが言ってた」
「この南ちゃんの発言には疑問が残るな。お前の言う説をこのケースで言い換えると、集合した瞬間にデートは終了するよな」
「うん。厳密に言うと、待ってる時間 “も” ではなくて ”が” だな」
「楽しかった“前日のワクワク”というイベントを締めるために南ちゃんは右肩下がりの消化試合(デート)をこなしているのか」
「待っている時間がデートだと」
(http://nebanebawh.blog75.fc2.com/blog-entry-1166.html)
「しかしあれだな」
「25日に男2人でこの案を試すのはさすがに憚られるな」
「精神的にかなりきついな」
前回に引き続き、岐阜編でおなじみ“カカシデザイナー”ことたまきにオファーしたところ、「参加出来る」とのことだった。
「案の概要は話さない方が面白いかな?」
「交換しない旨だけ伝えておこう」
次に我々は、何を買ってプレゼントしないか決めた。
「誕生日のときはウケ狙いで事なきを得たけどさ」
「よく考えたらあいつのこと何も知らねえな」
「どこかへヒントを探しにいこう」
今回のメインディッシュ、プレゼントの選定を謳歌するために我々は、ヒントを得られそうな場所をネットで探してみた。
「あったぁ」
「お」
渕上が見つけたのは『春画展』
(http://www.j-cast.com/2015/05/22235926.html)
***(以下HP「SHUNGA 春画展」より引用 )**
春画は、江戸時代に笑い絵とも呼ばれ、性描写と笑いが同居したユーモアで芸術性の高い浮世絵になります。特に海外から高い評価を得ており、2013年から2014年にかけて大英博物館で行われた 「春画 日本美術の性とたのしみ」は大きな話題を呼びました。
*************************
贈る相手がカカシデザイナーということもあり、
芸術性が高い世界観に触れることでたまきの嗜好が見えるのではないか。
我々はそう目論んでいた。
【12月23日(水) 『春画展』展示最終日】
『春画展』の開催場所・永青文庫は、
JR目白駅からあるいて20分ほどにあった。
(http://ebat42195.blog.jp/archives/cat_1143820.html)
(http://ultrabigfight.blog.fc2.com/blog-entry-189.html?sp)
70分待ちだった。
ここまでで早くも計90分無駄にしている。
待っている間ヒマだったので“70分”という待ち時間について調べてみたところ、デイズニーランドの人気アトラクション「スターツアーズ」の同日の待ち時間と同じだった。
(http://www.tokyodisneyresort.jp/attraction/detail/str_id:tl_tours/)
ディズニーといえばクリスマスの過ごし方のトップオブトップ。「これは何かの巡り合わせだ」と感じ、待ち続けることにした。
(https://chirosuke.wordpress.com/2015/11/21/春画展/)
ヒントは何も得られなかった。
【展示の大まかな感想】
「ちん○んでかすぎ」
「ち○こでかすぎ」
さて、困った。
贈るのにふさわしいプレゼントがわからないままでは今回の案が成立しなくなってしまう。しかも待ち時間で足が疲れてしまった。
そんな中、渕上がとある提案をする。
「東急ハンズいくか」
(http://www.groupon.jp/deal_welcome-detail/cid/13146)
プレゼントにちょうど良い物を探す人の拠り所で、
プレゼンター業界では「安全牌の要塞」と呼ばれる。
狙い目の商品イメージがなくとも、「お、これいいじゃん」 レベルの物が容易に見つかるのが東急ハンズの魅力である。
結局、我々も東急ハンズで
“渡さないプレゼント”を購入した。
「てかこのプレゼントさ」
「うん」
「めっちゃ無難じゃん」
「」
(http://137441.jonasun.com/mobile/post_506.php)
「」
聖なる夜、渡さないプレゼント交換は
果たしてどんなミラクルを起こすのか。
(Tokyo案庵 第2回【前編】 終わり)
**********
☞次回 新しいプレゼント交換【後編】
いよいよクリスマス当日を迎える我々。
第1回「誕生日」とは異なり、当日は何も考えずに
「プレゼントを渡さないだけでOK」という余裕の状況。
しかし、ジェバンニ渕上のワンマンプレーにより
クリスマスパーティはやや難解な結末を迎える。
(http://bokete.jp/odai/588021)
お楽しみに。
第13話 パリピと観音(キカクシリーズ「岐阜編」)
(https://retrip.jp/articles/1424/)
こんにちは。
<前回までのあらすじ>
社会人2年目の私は、オシャレさに憧れて初任給でMacを購入したものの、YouTubeとZOZOTOWNしか使いこなせない日々に辟易し、「もっとITを駆使している感を醸し出したい」と感じていた。
そこで、
有名IT企業に勤める旧友・二嶋と共に
それぞれが住む東京と大阪の中間地点、
(農村景観日本一)
旅先の観光資源をただ享受して愉しむよりも、
ITを駆使している感を醸し出すことだけを目指し
企画シリーズ「思い出よりキカク」を始動した。
第2回キカク「かかしコンテスト編」で辛酸をなめた我々は、
新メンバー・世界を迎え
第3回キカクの打ち合わせを行なうことになったのである。
○かかしコンテスト編はこちら
☞かかしコンテスト編 カテゴリーの記事一覧 - Himagine
**********
ここが新しい物語の舞台だ。
新メンバー・世界の加入により、我々は3人体制となった。
往年のロックバンド・THE ALFEEをご存知の方にとっては自明だが、
3人構成は非常に絵面がよい。
(http://raqoo.info/i-ch/THE_ALFEE)
(http://www.japanconcerttickets.com/perfume-ticket-osaka-dec-8th-2013/)
(http://girlschannel.net/topics/390976/)
新体制になった我々は第3回キカクの打ち合わせを行う必要があるが、メンバーが2人から3人になるにあたり、二嶋と電話するだけだった従来の打ち合わせ方法を変えなければならなかった。
ーーーあのツールが本領を発揮する時が来た。
“スカイプのグループ通話”
(通称:IT感のある飲み会)
学生時代、誰もがこのツールで
友人たちと夜な夜な語り合ったことだろう。
■親が起きてはいけぬと、ひそひそ声で話す人
(http://bokete.jp/boke/24367757)
■会話の途切れ目の沈黙で熱唱する人
(http://girlschannel.net/topics/10312/)
■エシャロットをつまみに参加する、若干オシャレな人
(http://lifepages.jp/matayoshi-ikemen-15116)
IT感のある飲み会は、自宅から参加出来るがゆえ
個々のプライベートが垣間見える楽しさがある。
初対面となる二嶋と世界にはうってつけの場だ。
(http://chomatome.com/articles/37317.html)
この初対面の場となる通話は
「IT感のあるキカク会議」と銘打たれ
東京・大阪・新潟から我々は、各々の自宅PC画面の前で待機。
全員が缶ビールを冷蔵庫から取り出して
いよいよセッティング完了、のはずだった。
「すまん遅れやした〜」
ーーーまさかの奇襲。
ド頭から世界がこだわってきた。
缶ビールのままの我々に対し、
(http://www.suntory.co.jp/news/2011/11250.html)
ビールジョッキへ注いでの参戦。
(https://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10178001249&GroupCD=0&no=)
世界には、
洗い物が増える億劫さなどない。
そんな概念はない。
(http://dot.asahi.com/beauty-co/2014090600005.html)
ーーー小鳥のさえずりが聞こえてきた。
(http://girlschannel.net/topics/2037/)
ーーー欧米の風の香りがする。
圧倒的な圧倒。
世界ワールドの情景は、
否応無しに私の頭の中へ飛び込んできた。
(http://www.roomie.jp/2014/04/160261/)
頭痛が痛い。
ーーここは東京、6畳の部屋。
私が刹那的な衝撃から正常を取り戻した頃、
二嶋は世界の世界たる所以を思い知っていた。
「世界すげーな」
これが世界基準。
“缶ビールをジョッキに注ぎ込む”
ただその一手間。
簡単な自己紹介を済ませたのち
打ち合わせは本格的に開始された。
まず我々は「岐阜編」の現状の問題点を話し合う。
①やらせ疑惑
あけてつ編、カカシ編とキカクに挑戦した中で
その声はだんだん多く聞かれるようになっている。
「最初からシナリオを作っているのではないか」
「こんな初歩的なミスをするなんてありえない」
幸いなことに「岐阜編」の読者は着々と増えているが、
キカクとしては2回とも“大失敗”に終わっている。
これは決して望ましい状態ではない。
つまり、この疑惑を払拭するために我々は今回
「やらせでは出来ないキカク」
に挑戦するのがマストだということである。
②恵那の名所が全然登場しない
駅付近の施設が中心に取り上げられているが、
実は恵那には全国的に有名なスポットがある。
恵那市内を舞台としたキカクに取り組んでいるならば、
魅力的な場所の紹介にもっと注力すべきだ。
なんならITを駆使している感を出すことの“次”に重要だ。
※えなてらすやジャスティス、アトリエも
オススメスポットであることは事実だ。
以上の前提をふまえ、
(http://misatohp.webnode.jp/products/恵那市観光協会:三郷町/)
「明知鉄道(あけてつ)」
「かかしコンテスト」
そんな見慣れた言葉たちの中に
一際輝きを放つワードがあった。
「三十三観音」
読んで字のごとく、
三十三の観音様がいるらしい。
そういえば。
(http://blog.goo.ne.jp/momonga-in-sendai/e/62a6d859bf87d27fcc8f0cadaa5f7610)
仙台に住んでいた頃、
部屋の窓からいつも大きな観音様が見えていた。
(http://www.geocities.jp/graphic_journal09/daibutsu/004_sendai/index.html)
(http://sendaipics.fc2web.com/wadai/report53.html)
(http://www.sukima.com/17_sendai01_02/24kannon.html)
だいぶデカかった。
来る日も来る日も、
窓を開けるといつも彼はいた。
それはまるで、
嵐のコンサートで松潤と目が合うような
(http://matome.naver.jp/odai/2141447369923346801)
「 こっち見てるなー」
と思ったものだ。
どこかミステリアスで、凄みを感じる存在だった。
そんなところも松潤のようだった。
「三十三箇所全部回るってバラエティっぽいな」
「似たような企画けっこう見かけるしね」
寺社を巡り回るという企画は既存であり、
いわば使い古された策だ。
「マネは避けたいね」
「うん」
「でも、これを成功させればさ」
「恵那市ほぼ全部回れるじゃん」
「ほんとだ」
「しかもインチキのしようがないしな」
「全部の観音様を巡らないといけないわけで」
しかし、いくつか気がかりな点もあった。
「おれ、おじいちゃんに教わった」
「政治・宗教関連の情報発信は気をつけなさいと」
(http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-11-08)
そう。
テーマが繊細なのである。
それだけではない。
ただ回るだけのキカクは当事者にマンネリを生み、
そんな雰囲気は読者の方にも伝わってしまうもの。
ただ、
①キカクがノンフィクションであること や
②恵那が素晴らしい町であること が伝わるならば
これも立派な“キカク”ではなかろうか。
「じゃあさ」
「誤解を生まない程度に回ろう」
「?」
「回ったという事実は伝わるようにして、逆に
それ以外のことは変に伝わらないようにしよう」
「でも写真撮って回って感想書くだけならさ」
「うん」
「SNSのパーリーピーポーと同じじゃん」
「他人から “あいつは日々が充実した人間だ” と思われるために、その場を楽しむことよりも楽しんでいる証拠作りに奔走した結果、“自分が盛れてる良さげな集合写真” 以外何も思い出が残らないやつじゃん」
(http://curie.trippiece.com/matome/)
二嶋が言っているのは、端的な例を挙げると
有名作品「位置エネルギー」(写真上)のことだ。
やり場のない運動エネルギーが青春の正体です、
とでも言うのだろうか。
また、彼らは基本的に
一緒に写っている友達が盛れてなくても容赦しない。
「別に我々は盛れてる写真撮る必要ないよな」
「観音様が盛れてればいい」
「世界のカメラワーク」
「おーらい」
「ジャンパーとは差別化していきたいな」
※ジャンパー
(http://curie.trippiece.com/matome/)
「回るだけとはいえな」
「うん。このシリーズは、ただ消費することに満足する同世代の人たちへのアンチテーゼでもあるし」
「最近は御朱印集めが若者の間で流行ってるらしいし、そういう系のイベントだと思われないように気をつけないといかんな」
「それは要注意だな」
「楽しんでる感が出ないように写真は笑わずに撮ろう」
「御朱印もいただかずに回りましょう」
「うわー絶対楽しくないわこのキカク」
最後に、移動について話し合った。
「コンセプト見えたし、あとは移動方法だな」
「車でいこうぜおーらいっ」
「群青の彗星なら2日で回れるよね?」
「群青の彗星は2人乗りだぞ」
(https://twitter.com/shun_shun1031)
すっかり忘れていた。
『群青の彗星』は2人乗りのロードスター。
「」
「レンタカーにしよう」
(http://lwe31x.exblog.jp/m2012-11-01/)
ーーーこうして第3回キカクは決まった。
「三十三観音巡り編」の幕開けである。
目的がクリアで、白黒のはっきりとした
極めて“純度の高い”内容だ。
我々は今回のキカクで「やらせ」などないことを証明し、
恵那のおすすめスポットを紹介しながら成功させる。
我々がパーリーピーポーのように
「観音様を巡った証拠写真」を作る行為に
果たして面白さはあるのか。
「そういえば」
「ITを駆使している感を醸し出さなくていいの?」
「醸し出し方がまったく見えない」
「その場のナリユキで」
次回、早くも我々は恵那駅に集合する。
3人体制の初陣、事件は「集合」で起きる。
(第13話 終わり)
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******************
第12話 3人目の男(キカクシリーズ「岐阜編」)
こんにちは。
<前回までのあらすじ>
社会人2年目の私は、オシャレ感に憧れてMacを購入するも、YouTubeとZOZOTOWNしか使いこなせない日々に辟易し、「もっとITを駆使している感を醸し出したい」と感じていた。
そこで、有名IT企業に勤める旧友・二嶋とともに
それぞれが住む東京と大阪の中間地点
(農村景観日本一)
旅先でなんとなく楽しい思い出を作ることよりも
ITを駆使している感を醸し出すコトだけを目指した
企画シリーズ「思い出よりキカク」を始動。
第2回キカク「かかしコンテスト編」は
まさかの結末を迎えた。
ITカカシこと“バロ助”は無事完成したものの、
コンテストの提出期限を2ヶ月過ぎていたことが発覚。
数ヶ月の検討期間も全て水の泡となり、
悲しみに打ちひしがれ我々は静かに恵那を後にした。
○かかしコンテスト編はこちら
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*****
ここが新しい物語の舞台だ。
「かかしコンテスト編」は惨敗に終わった。
IT感のあるカカシを完成させることには成功したが、
“提出期限を見間違える”という致命的なミスを犯した。
悔しい。
悔しい。
悔しい。
(http://blog.goo.ne.jp/briton/e/1f88c596eb3700b53d9561493d06564f)
敗因は明らかだった。
なかなか予定が会わず、
恵那に集合する時期が遅かったこと。
(2015年の祝日カレンダーをチェック!連休が多いのは何月? | ニュース365)
言ってしまえば、提出期限が記載された応募要項を
ちゃんと読んでいなかった点については仕方ない。
いや仕方なくはないが、仮に読んでいたとしても
期限までに提出しにいくことは不可能だったのだ。
東京に戻り、次のキカクの案を考えていた中、
“バロ助”の設置前日に二嶋と交わした言葉を思い出す。
「予定合わないだけで延期になるのは考えものだな」
「行けるやつで実行するチーム構成が望ましいわな」
「あとさ」
「うん」
「とりあえず画的にめっちゃ弱いよね」
「弱いにしても、上手く見せる技術が必要だな」
「うん」
(http://blog.goo.ne.jp/goofukurou/e/e1cde50d12cb5097ebd746dbe07f92b9)
「画の力」
我々のキカクに不足している要素だった。
というのも。
今のスタイルだと、読んでいただいている皆さんに
・恵那の魅力(きれいな風景やオススメの場所)
(http://blogs.yahoo.co.jp/kimitotomato/30508094.html)
・ITを駆使している感を出したい我々の苦悩
これらがどれだけ伝わるかは
“写真や編集に委ねられている”
と言っても過言ではないからだ。
我々に必要なのは、
その問題を解決できる存在なのかもしれない。
それは、
ファッション要素で一眼レフをぶら下げる森ガール的な存在ではなく、
(http://matome.naver.jp/odai/2133966274828293201/2133966440928519103)
みんなが集まる会でカメラを回してくれるお人好し的な存在でもない。
自撮りの達人といった小手先はもってのほか。
(http://shonan-web.jp/social-media/selfie/)
極論を言うと、
撮影から編集までのトータルを守備範囲とする
正統なエディターの存在である。
(http://like-apple.com/imac-ion/)
ーーー『新メンバー』
カカシ編を終えた2週間後、
私は腹を据え、ついに二嶋に連絡した。
「1人誘いたいやつがいるんだけど、いいかな」
「おっけー」
友達が少ない私にも、1人だけあてがあった。
ーーーあれは昨年、仙台でキカクをやっていた頃。
1人の、キカクを愛する男がいた。
彼の「画」に対するこだわりは半端ではなかった。
たとえば「自炊」
一人暮らしだとテキトーになりがちな夕食。
しかし彼は仕事終わりのそれすら妥協を許さなかった。
夕飯の写真は、毎日グループLINEに送られてきた。
お菓子も作っていた。
「さすがにやりすぎだろう」
と思うこともあった。
たとえば「飲み会」
一杯飲みにいく日ですら妥協しない男だった。
少しでもオシャレっぽい店を探そうとしてくれた。
(http://www.happy-pass.com/smart/shop_664.html)
四文屋系の店へ行きたい日もあったが、
彼にそんなことは言えなかった。
(http://yuko-life.com/daily/post-1250/)
「探す時間がもったいねえよ」
と思うこともあった。
さて。
ここまでの情報だと
「ただ女子力が高い男子」
という誤解をされかねない。
(http://www.yukawanet.com/archives/4850612.html)
彼の本領はというと、
①豊富な撮影ツールを意のままに操ること
(http://pagasa.jp/solo-camp-furubokke-mochimono)
②Macを活用した情報加工スキル
(http://gori.me/mac/mac-setups/58208)
つまり、“ITの駆使” なのだ。
“駆使している感”ではなく、紛れもない本物。
私は、その「こだわり」に敬意を表し
いつしかその男を『世界』と呼んでいた。
(世界のプロフィール写真。本人のFacebookより引用)
あれこれ言っても仕方ないので、
ひとまず世界にオファーしてみることにした。
「世界久しぶり」
「おお久しぶりー 最近どうよ」
「東京へ異動になって新しいキカクを始めたよ」
「Facebookに上げてるやつ?」
「そう。ITを駆使している感を醸し出したくて」
「趣旨は全然意味わからないけど見てるよ」
「ありがとう」
「そういえば、この前のカカシのやつさ」
「うん」
「序盤にあった応募要項の画像に提出期限出てたやん?」
「うん」
「もう過ぎてるのになーと思いながら見てたわ」
世界は気付いていた。
「気付いたなら連絡くれれば良かったのに」
「いや、間に合わないオチ狙ったのかと思った」
“提出できないとわかっていながら
そんな愉快な社会人がどこにいようか。
しかし、それが“世界基準”なのだ。
本題に入ることにした。
「あのさ」
「うん」
「また一緒にキカクをやらないか」
「ん、どこで?」
「恵那で」
世界を誘うにあたり、
ひとつの懸念があった。
彼はいま新潟県に住んでおり、
神アプリ(=Googleマップ)で調べたところ
車で行く場合、恵那駅まで最短で4時間40分かかる。
ぶっちゃけ、相当めんどいのだ。
「遠くね?」
「うん。でも、世界なら」
「んーまあ同じ日本だしな」
世界はかつてカナダに住んでいたからか、
こういった距離の捉え方には寛容だった。
(http://www.anniversary-t.com/jp/canada/)
「リアルに今、岐阜編に世界の力が必要でさ」
「そうですかそうですか」
「仙台の時みたいに、キカクに新しい可能性を見出したい」
「んなるほどお」
仙台でもキカクシリーズをやっていたのだが、
世界監督のもと私は初めて映像・主題歌作りに挑戦し
彼にキカクの楽しさ、可能性の大きさを教わった。
(常に映像の最終形を意識した動き方は、彼の真骨頂だ)
(EDにトークを混ぜることで、キカクはより本格的になった)
「新潟からだと遠いのは重々承知しているが、どうかな」
「そこがネックだよな」
「うむ…」
「とはいえ」
「はい」
「そろそろキカクやりたいと思ってたわ」
「!」
快諾してくれた。
「群青の彗星で行くわ」
(世界のロードスター。通称:『群青の彗星』)
「世界だなー」
メンバーが増えた。
この日から我々は、二嶋・私・世界の3人体制となった。
東京・大阪・新潟の3地点から
恵那に集まり、新しい物語を紡ぐ。
(http://takashitzr.blog62.fc2.com/blog-entry-801.html)
思い返せば、
ーーー第1回の「夢オチ」
ーーー第2回の「期限遅れ」
インチキと苦悩の波を乗り越え、我々が目指すのは
「3度目のIT感醸し出し正直」
盤石の布陣のもと、
第3回キカクはいよいよ幕を開ける。
最後に、新メンバーとなった
「世界」に関する情報をいくつか補足しよう。
**********
名前:世界(24)
趣味:地球上の洒落ているもの全て
**********
情報① 学生時代に海外留学していた
(http://college2ch.blomaga.jp/articles/138221.html)
英語ペラペラだ。
恵那でこのスキルが活きる日は来るのだろうか。
世界の教養である。
情報② 学生時代に弓道もやっていた
(http://www.city.chichibu.lg.jp/2951.html)
恵那の山奥で「いざというとき」が来たら彼に頼ろう。
ちなみに流派は「小笠原流」らしい。
世界の嗜みである。
情報③ 学生時代に音楽もやっていた
(本人のFacebookより引用)
「いざというとき」が来たら奏でてもらおう。
現在はYAMAHA大人の音楽教室に通っているらしい。
世界の嗜みである。
ーーー次回、3人での初キカク打ち合わせを迎える。
世界の加入により、IT感は加速する。
(第12話 終わり)
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☆かかしコンテスト編
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******************
「Tokyo案庵」第1回 誕生日の新しい過ごし方
ーーー12月、とある夜。
(http://www.kabegamikan.com/p/i.php?url=www.kabegamikan.com%2Fimg%2Fna9%2F121999.jpg)
私は1人で考えていた。
「誕生日」についてのあれこれ。
①SNSでの「誕生日報告」が氾濫している
【ご報告】
「私、○○はこのたび22歳になりました」
(http://girlschannel.net/topics/424335/)
こういう人がよくいる。
ラッパーのごとく周りへの感謝を
ダラッダラと綴っているが、結局
「私って友達に恵まれている上こういう時にはマジメな投稿で感謝を伝えることも忘れない成熟した人間なんやで」という自己アピールに過ぎない。
SNSの使い方は、とても難しいのだ。
トリコロール的な話にも発展しかねないので話題を戻そう。
②誕生日当日の流れが読めてしまう
「飲も!」
(http://www.appbank.net/2014/04/15/iphone-application/791424.php)
誕生日1、2週間前に連絡はやってくる。
大人になるとわかることが幾つかある。
誕生日の飲み会では必ず、1時間半ほどすると
「席に残る誰かに合図をし、おもむろに席を立つ奴」が現れる。
いわゆる“ケーキ運び人”だ。
「はーーーーーーぴばぁ」の皮切りを歌いだす役割も担っている。
声がでかい奴、もしくは
主役と仲の良い同期が担当することが多い。
また「今日買い物してた」的な素振りで
プレゼントをそのまんま店に持ってくる人もいる。
いわゆる“プレゼンター”である。
「ケーキ→ローソク吹き消し」が
一段落したあとの追い打ち担当なので、
タイミングを読む力に長けた人間が適役だ。
運び人やプレゼンターの当日の不自然な動きについてだが、
主役は絶対に気付かないフリをしなければならない。
なぜならば、
「そろそろアレのタイミング?」
「先トイレ行っといた方がいい?」
と言ってしまうのは、なんか野暮だからだ。
(http://sozai-photo.com/sorasougen/sorasougen.html)
誕生日はいつから形式的になったのだろう。
そんな悲しい世を憂う一方、
大人になってしまった人の誕生日は、
ただ祝われるためにお呼ばれするのでなく
“普段そばにいてくれる友人へ感謝する機会”
にしてもよいのでは、と考えた。
ふむ。
そういえば。
今年の誕生日、何も予定がなかった。
(http://college2ch.blomaga.jp/articles/7599.html)
さんざん「誕生日」へ文句を言いつつ、
それはそれで寂しいものだ。
というわけで、
今回の案を自分の誕生日で試してみることにした。
相談したのは
同僚の渕上君
●プロフィール
・元ラガーマン(らしい)
・帰国子女(酔うと欧米仕様になる)
・サックスがちょっと吹ける
「おれの誕生日ひま?」
「うん」
「飲みにいこうよ」
「誕生日なのに予定ないのかお前」
「うん」
今回の案を行うにあたり、
岐阜編でおなじみ “カカシデザイナー”こと
たまきも来ることになった。
ひとまず、案の概要を渕上に説明した。
「俺の誕生日だけどさ」
「うん」
「あえて、たまきに日頃の感謝をする日にしようぜ」
「お前の誕生日なのに?」
「何かこの歳になってさ、色々わかってきちゃったじゃん」
「?」
「誕生日のルールというかさ」
「そこはもうアンタッチャブルだ」
「贅沢な悩みではあるけども」
「そんなこと言ってるから今年の誕生日誰も祝ってくれないんじゃね」
「あー」
「てか感謝って何すんの?」
「いやそれはもうあれ」
「本来ならば主役が受ける施しのすべて」
(http://news.livedoor.com/article/detail/3565444/)
この日から心理戦が始まった。
コンセプトは「たまきへのサプライズ」と言いつつ、
2人がサプライズを仕掛けてくる可能性は多分にある。
私の誕生日だからだ。
しかし、「最終的に主役が驚かされた」
というオチではただの誕生日になってしまう。
この会は、最終的に
ケーキのチョコレートに
名前を書かれた者が負けだ。
それを未然に防ぐため
私はリスクを冒し、渕上と組むことにした。
(http://heavensdrive2006.blog59.fc2.com/blog-date-200712.html)
【12/4(金)当日】
たまきを含む3人のLINEで会話しつつも、
渕上と綿密に連絡をとる。
主役に秘密で、ケーキが店へ持ち込まれているが
それはたまきにとって、自分のためのケーキ。
渕上との打ち合わせは完璧だった。
連絡通り、15分遅れて店に乗り込む。
「すまん遅れた」
「おつかれー」
「おつー」
こうして「いつもの飲み会」を装う
3人の頭脳戦が幕を開けた。
私・渕上→たまきへのサプライズ
たまき→私へのサプライズ
という構図だ。
勝負が動いたのは、
1時間と数分が経過したタイミングだった。
たまきが席を外した。
視界から消えたのを確認すると
渕上は、私にあるものを渡す。
たまきへのメッセージカードである。
「早く!名前を書くんだ!」
私は紙片にたまきの名前とコメントを書きこんだ。
(http://u-note.me/note/47487213)
40秒後、たまきが戻ってきた。
(http://shiroikaze.blog1.fc2.com/blog-date-200802.html)
・・・勝ったぁ。
そしてこのタイミング、
ついに渕上がケーキに手をかける。
「えー、なんだかんだ言って、今日はるいの誕生日ということでね」
「えっ、なに」
「普段は冷酷な彼ですけども」
「えっ、何その前フリ」
リアクションをするのは主役の使命。
しかし、
ここまですべて計算通り。
「ハーピバースデー ディーア」
21時23分
ここで前に出る。
(http://nyaasokuvip.net/archives/5038)
「と見せかけて」
腹を抱えて笑う渕上。
事態が読み込めないたまき。
「24歳の誕生日にもなるとさ」
「」
「展開読めてくるじゃん」
「たしかに」
「というわけで」
渕上がケーキを反転させる。
そこには
たまきへの感謝のメッセージが書かれていた。
(http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1055055665)
「いつもありがとおおおおお」
「なんでぇえええ」
叫ぶたまき。
名前を書かれた人間はえてしてこうなる。
「渕上ぃ!さっき普通に私にケーキ見せてたじゃあんかぁ!」
「うん、ヒヤヒヤしたさ」
「意味わかんねえよおお」
渕上の計算だった。
あらかじめ祝われる本人にケーキを
見せることで、油断を誘う。
そして、
数分前にたまきが席を外したタイミング、
別の容器に入っていたチョコは
渕上の手できれいにセットされた。
さらに、
「いやね、ただケーキを送るだけじゃ
感謝は伝わりきらないと思うのよ」
「そうだな」
ここで
たまきへプレゼントを渡す。
「なんでぇええええ」
すべては打ち合わせ通り、
「あれ、プレゼントかぶった・・?」
同じ本を2冊、、、!
【12/2(水) 会の2日前】
(http://nebanebawh.blog75.fc2.com/blog-entry-1166.html)
「たまきにさ、プレゼントあげたら面白くね」
「いいね」
「何にするか」
「セクシュアルな自己啓発本とかどう」
「んーいいね」
「買いにいく時間あるかな」
「通販だと間に合うかわからんしなあ」
「別々のラッピングにしないと開ける時にバレるよな」
「そうなると、店で買うしかないか」
ひとつ、大きな問題があった。
いちおう社会人である我々がプレゼントを吟味し、
購入する十分な時間はなかったのだ。
しかし、
渕上が1日でやってくれた。
有給休暇をとったのである。
しかも、メモリアル休暇。
これにより
ケーキとプレゼントの準備、会場選び
すべてが完璧に進んだ 。
完全勝利、、、!
「誕生日なのに何なんや!」
しかし、ひとつ気になる点があった。
先ほどの
私に対する「はーーーーーーぴば」の段階で
たまきがプレゼント的な小袋を
持ち出したことを覚えていた。
(http://matome.naver.jp/odai/2139852539157279701/2139852781759547403)
彼らは王道パターンで
「主役向けのプレゼント」を買っていたのだ。
「ゆうてもね」
「一応るいの誕生日なわけで」
「プレゼント買ってあると」
「えっ」
サボテンをもらった。
「ベランダに置こう」
そう思った。
渕上はたまきとも組んでいたのだ。
私は祝われた。
ーーーよく考えたら、自分の誕生日だった。
裏をかくことに捕われすぎて、表が見えなくなっていた。
あやうく人間として肝心なことを忘れるところだった。
しかし、
これで終わりではない。
「渕上がたまきと組んで、
主役の自分に秘密で何かを準備してくる」
これも想定内だった。
「ゆうてもね」
「え、まだあんの」
「渕上にもいつもお世話になっているから」
準備していたのは
銘菓「かねすえ」さぬきわらび餅
喜んでくれた。
ちなみに、賞味期限は私の誕生日12/6だ。
これはキレイに締まった。
最高の幕切れである。
「いやー面白かったな」
「なんか疲れたな」
「って思うじゃん?」
不気味に笑うたまき。
完全に勝負は決していたかに見えたが、
カバンから何かを取り出した。
酔っぱらっているからなおさら怖い。
(http://myturn2ch.doorblog.jp/archives/45744251.html)
このタイミングということもあり、
もしウケ狙いのプレゼントならば
相当ハードルは上がっている。
なんてメンタルの強い奴だ。
(http://matome.naver.jp/odai/2132670272437107201)
白い手帳をくれた。
「計画通りぃい」
「お、ありがとう」
「誕生日こそ、普段一緒にいてくれる友人に感謝する」
*****【試した結果】*****
かなり疲れる。
そして騙し合いの泥仕合になると
オチが必要になる。
****************
今の私には、ひとつだけ懸念がある。
来月、渕上の誕生日なのである。
(「Tokyo案庵」第1回 終わり)
「岐阜編」第11話 さよならITカカシ
こんにちは。
<前回までのあらすじ>
社会人2年目になった私は、
オシャレ感にあこがれてMacを購入したものの
YouTubeとZOZOTOWNしか使いこなせない日々に辟易し、
「もっとITを駆使している感を出したい」
と感じていた。
(http://chomatomesh.blomaga.jp/articles/28212.html)
そこで、有名IT企業に勤める旧友・二嶋とともに
(http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=33635)
思い出よりも
ITを駆使している感を醸し出すコトをめざした
企画シリーズ「思い出よりキカク」を始動。
第2回キカク「かかしコンテスト編」はついに最終回。
ITカカシ“バロ助”を完成させた我々は、
作品の提出場所・山岡駅へ向かうのである。
【かかし編 5〜10話はこちらから】
☞かかしコンテスト編 カテゴリーの記事一覧 - Himagine
**********
岐阜編は恵那市。
ここが新しい物語の舞台だ。
IT感のあるカカシ、バロ助は完成した。
しかし、まだキカクは終わりではない。
提出場所へ運ばなければならないのである。
あけてつに乗り、その山岡駅へ向かう必要がある。
(http://blogs.yahoo.co.jp/ya3249/33511973.html)
しかし、ここで1つの問題に気付く。
見ての通り
この状態だとバロ助を運ぶことができないのだ。
考えた。
(http://lovesick-mens.com/20140216.html)
運べる状態まで崩すことにした。
その結果、
こんな仕上がりになった。
この状態のバロ助を、 “脱” と名付けた。
脱の正しい持ち方は、こうだ。
運び方はこう。
乗り方はこう。
ITカカシともなるとこのスマート感だ。
10分後、恵那駅へ到着した。
あけてつは電車の本数が少ないので、
我々は待合室で時間をつぶすことにした。
延々と雨が降りしきる中、
二嶋が1つの提案をする。
「優勝したとき用にさ」
「うん」
「ドキュメンタリーっぽいやつ撮っとこうよ」
「いいね」
「いよいよ提出に向かう心境 的な」
「ついにこのカカシ編も終わりやな」
数ヶ月間にわたって続いた「 かかしコンテスト編」
(http://enasan.net/chief/004968.php)
(http://seoson.s88.xrea.com/summer07/archives/07-0812-213632.php)
(http://aun-web.com/note/15831.html)
(http://find-travel.jp/article/769)
この、駅で電車を待っている状態から
かかし編 衝撃の結末まで
写真のみで一気にご覧いただきたい。
(http://qb-ch.com/news/20131108b1.html)
(http://plaza.rakuten.co.jp/arakaruto130910/26000/)
「かかしコンテスト編」
(http://chiebukuro.yahoo.co.jp/tag/tags.php?tag=漫画スラムダンク)
カカシを作ろうとしたら、
冬になっていた。
よく考えたら、
カカシの出番は秋だった。
ITかかし“バロ助”は、名古屋で息を引き取った。
“脱” だったので、最期の表情はわからなかった。
**********
【かかしコンテスト編】の結末を要約すると、
「提出期限が過ぎていた」 ということである。
①提出期限は9月12日まで。
②審査期間が11月16日まで。
③完成した日は11月8日。
提出の締め切りは2ヶ月前だったのだ。
なんともお間抜けな話ではあるが、
駅に置かれていたコンテストの応募要項を
見かえして初めて気付いた。
いわゆる空目である。
(http://onecall2ch.com/archives/7068846.html)
つまり我々は
恵那まで行って、
カカシを完成させて、
提出できずに帰ってきた。
ということになる。
**********
東京へ戻ってきた。
ーーーカカシ編は終わった。
さて。
また新しいキカクを作ろう。
帰り道、
私は泣いた。
そんな私を見ている月が、
半分だけ笑っている気がした。
(ED曲)
ーーー次回、第3回キカク始動。
(第11話 終わり)
ーーーー☆過去記事一覧☆ーーーー
【あけてつあるけ編】
○第1話 「新シリーズ・岐阜編」第1回 始まりの日 - Himagine
○第2話 「新シリーズ・岐阜編」第2話 ”キカクがない!?” - Himagine
○第3話 「新シリーズ・岐阜編」第3話 vs明知鉄道 - Himagine
○第4話 「新シリーズ・岐阜編」第4話 あけてつの真相 - Himagine
【カカシコンテスト編】
○第5話 「岐阜編」第5話 IT感のあるカカシ - Himagine
○第6話 「岐阜編」第6話 本当にカカシをIT化できるの? - Himagine
○第7話 「岐阜編」第7話 どんなカカシを作ろう - Himagine
○第9話 「岐阜編」 第9話 カカシ革命の前夜 - Himagine
○第10話 「岐阜編」第10話 我がカカシの名は - Himagine
ーーーーーーーーーーーーーー