第13話 パリピと観音(キカクシリーズ「岐阜編」)
(https://retrip.jp/articles/1424/)
こんにちは。
<前回までのあらすじ>
社会人2年目の私は、オシャレさに憧れて初任給でMacを購入したものの、YouTubeとZOZOTOWNしか使いこなせない日々に辟易し、「もっとITを駆使している感を醸し出したい」と感じていた。
そこで、
有名IT企業に勤める旧友・二嶋と共に
それぞれが住む東京と大阪の中間地点、
(農村景観日本一)
旅先の観光資源をただ享受して愉しむよりも、
ITを駆使している感を醸し出すことだけを目指し
企画シリーズ「思い出よりキカク」を始動した。
第2回キカク「かかしコンテスト編」で辛酸をなめた我々は、
新メンバー・世界を迎え
第3回キカクの打ち合わせを行なうことになったのである。
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ここが新しい物語の舞台だ。
新メンバー・世界の加入により、我々は3人体制となった。
往年のロックバンド・THE ALFEEをご存知の方にとっては自明だが、
3人構成は非常に絵面がよい。
(http://raqoo.info/i-ch/THE_ALFEE)
(http://www.japanconcerttickets.com/perfume-ticket-osaka-dec-8th-2013/)
(http://girlschannel.net/topics/390976/)
新体制になった我々は第3回キカクの打ち合わせを行う必要があるが、メンバーが2人から3人になるにあたり、二嶋と電話するだけだった従来の打ち合わせ方法を変えなければならなかった。
ーーーあのツールが本領を発揮する時が来た。
“スカイプのグループ通話”
(通称:IT感のある飲み会)
学生時代、誰もがこのツールで
友人たちと夜な夜な語り合ったことだろう。
■親が起きてはいけぬと、ひそひそ声で話す人
(http://bokete.jp/boke/24367757)
■会話の途切れ目の沈黙で熱唱する人
(http://girlschannel.net/topics/10312/)
■エシャロットをつまみに参加する、若干オシャレな人
(http://lifepages.jp/matayoshi-ikemen-15116)
IT感のある飲み会は、自宅から参加出来るがゆえ
個々のプライベートが垣間見える楽しさがある。
初対面となる二嶋と世界にはうってつけの場だ。
(http://chomatome.com/articles/37317.html)
この初対面の場となる通話は
「IT感のあるキカク会議」と銘打たれ
東京・大阪・新潟から我々は、各々の自宅PC画面の前で待機。
全員が缶ビールを冷蔵庫から取り出して
いよいよセッティング完了、のはずだった。
「すまん遅れやした〜」
ーーーまさかの奇襲。
ド頭から世界がこだわってきた。
缶ビールのままの我々に対し、
(http://www.suntory.co.jp/news/2011/11250.html)
ビールジョッキへ注いでの参戦。
(https://amanaimages.com/info/infoRF.aspx?SearchKey=10178001249&GroupCD=0&no=)
世界には、
洗い物が増える億劫さなどない。
そんな概念はない。
(http://dot.asahi.com/beauty-co/2014090600005.html)
ーーー小鳥のさえずりが聞こえてきた。
(http://girlschannel.net/topics/2037/)
ーーー欧米の風の香りがする。
圧倒的な圧倒。
世界ワールドの情景は、
否応無しに私の頭の中へ飛び込んできた。
(http://www.roomie.jp/2014/04/160261/)
頭痛が痛い。
ーーここは東京、6畳の部屋。
私が刹那的な衝撃から正常を取り戻した頃、
二嶋は世界の世界たる所以を思い知っていた。
「世界すげーな」
これが世界基準。
“缶ビールをジョッキに注ぎ込む”
ただその一手間。
簡単な自己紹介を済ませたのち
打ち合わせは本格的に開始された。
まず我々は「岐阜編」の現状の問題点を話し合う。
①やらせ疑惑
あけてつ編、カカシ編とキカクに挑戦した中で
その声はだんだん多く聞かれるようになっている。
「最初からシナリオを作っているのではないか」
「こんな初歩的なミスをするなんてありえない」
幸いなことに「岐阜編」の読者は着々と増えているが、
キカクとしては2回とも“大失敗”に終わっている。
これは決して望ましい状態ではない。
つまり、この疑惑を払拭するために我々は今回
「やらせでは出来ないキカク」
に挑戦するのがマストだということである。
②恵那の名所が全然登場しない
駅付近の施設が中心に取り上げられているが、
実は恵那には全国的に有名なスポットがある。
恵那市内を舞台としたキカクに取り組んでいるならば、
魅力的な場所の紹介にもっと注力すべきだ。
なんならITを駆使している感を出すことの“次”に重要だ。
※えなてらすやジャスティス、アトリエも
オススメスポットであることは事実だ。
以上の前提をふまえ、
(http://misatohp.webnode.jp/products/恵那市観光協会:三郷町/)
「明知鉄道(あけてつ)」
「かかしコンテスト」
そんな見慣れた言葉たちの中に
一際輝きを放つワードがあった。
「三十三観音」
読んで字のごとく、
三十三の観音様がいるらしい。
そういえば。
(http://blog.goo.ne.jp/momonga-in-sendai/e/62a6d859bf87d27fcc8f0cadaa5f7610)
仙台に住んでいた頃、
部屋の窓からいつも大きな観音様が見えていた。
(http://www.geocities.jp/graphic_journal09/daibutsu/004_sendai/index.html)
(http://sendaipics.fc2web.com/wadai/report53.html)
(http://www.sukima.com/17_sendai01_02/24kannon.html)
だいぶデカかった。
来る日も来る日も、
窓を開けるといつも彼はいた。
それはまるで、
嵐のコンサートで松潤と目が合うような
(http://matome.naver.jp/odai/2141447369923346801)
「 こっち見てるなー」
と思ったものだ。
どこかミステリアスで、凄みを感じる存在だった。
そんなところも松潤のようだった。
「三十三箇所全部回るってバラエティっぽいな」
「似たような企画けっこう見かけるしね」
寺社を巡り回るという企画は既存であり、
いわば使い古された策だ。
「マネは避けたいね」
「うん」
「でも、これを成功させればさ」
「恵那市ほぼ全部回れるじゃん」
「ほんとだ」
「しかもインチキのしようがないしな」
「全部の観音様を巡らないといけないわけで」
しかし、いくつか気がかりな点もあった。
「おれ、おじいちゃんに教わった」
「政治・宗教関連の情報発信は気をつけなさいと」
(http://simple-art-book.blog.so-net.ne.jp/2010-11-08)
そう。
テーマが繊細なのである。
それだけではない。
ただ回るだけのキカクは当事者にマンネリを生み、
そんな雰囲気は読者の方にも伝わってしまうもの。
ただ、
①キカクがノンフィクションであること や
②恵那が素晴らしい町であること が伝わるならば
これも立派な“キカク”ではなかろうか。
「じゃあさ」
「誤解を生まない程度に回ろう」
「?」
「回ったという事実は伝わるようにして、逆に
それ以外のことは変に伝わらないようにしよう」
「でも写真撮って回って感想書くだけならさ」
「うん」
「SNSのパーリーピーポーと同じじゃん」
「他人から “あいつは日々が充実した人間だ” と思われるために、その場を楽しむことよりも楽しんでいる証拠作りに奔走した結果、“自分が盛れてる良さげな集合写真” 以外何も思い出が残らないやつじゃん」
(http://curie.trippiece.com/matome/)
二嶋が言っているのは、端的な例を挙げると
有名作品「位置エネルギー」(写真上)のことだ。
やり場のない運動エネルギーが青春の正体です、
とでも言うのだろうか。
また、彼らは基本的に
一緒に写っている友達が盛れてなくても容赦しない。
「別に我々は盛れてる写真撮る必要ないよな」
「観音様が盛れてればいい」
「世界のカメラワーク」
「おーらい」
「ジャンパーとは差別化していきたいな」
※ジャンパー
(http://curie.trippiece.com/matome/)
「回るだけとはいえな」
「うん。このシリーズは、ただ消費することに満足する同世代の人たちへのアンチテーゼでもあるし」
「最近は御朱印集めが若者の間で流行ってるらしいし、そういう系のイベントだと思われないように気をつけないといかんな」
「それは要注意だな」
「楽しんでる感が出ないように写真は笑わずに撮ろう」
「御朱印もいただかずに回りましょう」
「うわー絶対楽しくないわこのキカク」
最後に、移動について話し合った。
「コンセプト見えたし、あとは移動方法だな」
「車でいこうぜおーらいっ」
「群青の彗星なら2日で回れるよね?」
「群青の彗星は2人乗りだぞ」
(https://twitter.com/shun_shun1031)
すっかり忘れていた。
『群青の彗星』は2人乗りのロードスター。
「」
「レンタカーにしよう」
(http://lwe31x.exblog.jp/m2012-11-01/)
ーーーこうして第3回キカクは決まった。
「三十三観音巡り編」の幕開けである。
目的がクリアで、白黒のはっきりとした
極めて“純度の高い”内容だ。
我々は今回のキカクで「やらせ」などないことを証明し、
恵那のおすすめスポットを紹介しながら成功させる。
我々がパーリーピーポーのように
「観音様を巡った証拠写真」を作る行為に
果たして面白さはあるのか。
「そういえば」
「ITを駆使している感を醸し出さなくていいの?」
「醸し出し方がまったく見えない」
「その場のナリユキで」
次回、早くも我々は恵那駅に集合する。
3人体制の初陣、事件は「集合」で起きる。
(第13話 終わり)
*****【過去記事一覧】*****
☆あけてつ編
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