逆にどうぶつが主体的にあつまる森
【Q. アフターコロナ、何が起きるのか】
【A. その先に、3つの事象が発生する】
①ガチョウが絶滅の危機に陥る
②ハンコの買い替えが増える
③福井県・鯖江市の経済が潤う
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「つまり、ガチョウが絶滅するのか?」
土曜の15時、換気のために窓を半分開けて、飲み物のおかわりを淹れる。テレワークが続くようになり、一日中コーヒーばかり飲んでしまうのは私だけだろうか。
「カフェインの過剰摂取は、睡眠の質を落としますよ」
「インスタントの嗜好飲料、売れてるらしいね」
「そうなると、寝具にこだわる人が増えるかも!」
「西川産業?」
「羽毛ふとんか」
「あー欲しいっすね、高級ふとん」
「10億年ぶりにあのダジャレ言ってもいいっすか?」
「ダメ」
答えは、ガチョウだった。
このコミュニケ―ションにも慣れた。調べものをしながらスムーズに会話できるので、予想外の知識も得られることも判明。この日は、それぞれの自宅から「アフターコロナ」について話し合う。
ガチョウは英語で“Goose”
GOOSE HOUSE
思い出したように、手元のメモに記した。
人気Youtubeチャンネルの先駆け的な存在である。もともとクオリティの高いカバー曲の動画で有名だが、オリジナル曲にも定評がある。かの名曲「sing」は、つまり「寝具」だったのだ。
つまり、ガチョウが危ない?
テレビの向こうでは、病院のベッド不足も叫ばれている昨今だ。あながち間違いとは言えない。なにか、出来ることはあるだろうか?
▼簡単にまとめると、ポイントは以下だ。
ガチョウは住まいの理想が高く、飼うのは難しそうだ。
それだったら私も、お風呂の大きさは金沢21世紀美術館にある「スイミング・プール」くらいが良いし、南向き・芝生付きバルコニーが欲しい。しかし、文句を言う暇があるなら銭湯へ行けばいいし、公園の芝生でひなたぼっこして、アイスを買って帰ればいい。しばらくは、我慢だ。
なんというかまあ、“ガチョウは銭湯へ行けない”そんな慣用句が存在するのかは知らないが、そういうことなのだろう。
“人のガチョウを料理する”という慣用句が存在した。
「人の希望や計画を台無しにする」という意味らしい。
健康管理の注意点もチェックした。具合が悪い、ずっとうずくまっているなど、普段と様子が違うときは、獣医さんに診せた方が良いようだ。40才以上のガチョウは、注意深く観察することが必要。ガチョウは思ったより長生きだ。ちなみに食べ物は、ニワトリの餌や青菜を刻んだモノが望ましい。
ニワトリの餌ってなんだ。
たしかに、まず調べることは大事だ。
ただ、「なんでも調べる病」には、かからないよう気を付けよう。
ときには、あれこれ考え、想像することも必要だ。
「もうLINE離れが起きているの?」
元気なJK集団のことばに、驚嘆の表情を見せるマツコ・デラックスと、画面越しに感想がシンクロした。またその学生の言う通り、会話ツールは増え続ける一方で、中身は何でもないようなことだ。
つまり「高橋ジョージの公理」
「ジョージの定理」に関しては僕も同意です
すでに該当名の定理が存在した。
なんか、家に1人でいるのに疲れる時ありません?
人からの連絡が、絶えず流れてくる社会
「常時の定理」っすね
このところ、家族や親友との関係性を見直すようになった。多少なりとも、外出自粛に起因していると思う。そしてニュースを見渡すと、“同棲カップルの婚約促進”といったハッピーな話題だけでなく、ストレスによるDV増加・離婚話も散見される。
彼らは名字が変わるとき、決意を新たにするだろう。
つまり結果的に、ハンコを買い替える人が増えるかもしれない。
(引用:https://webmist.info/24hanko/)
文房具屋にある『ハンコの回転式ショーケース』は、魔法の装置だ。時に貶められがちな、メジャーな苗字の者に「自分のがあるか確認する」という“催事”を、マイナーな苗字の者に「絶対ないから確認しない」という“誇り”をもたらした。だから何なのだという話だが、何でもないようなことが幸せなのだ。
日本へ伝わったのは、中国の後漢の時代とされている。
▼歴史でも有名な「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」
(引用:https://yokanavi.com/feature/68843/)
高級な印鑑の材料として知られるのが、象牙だ。
ゆえに印鑑作りはアフリカゾウの密猟の原因ともされ、批判的な見方もある。ただ、日本は「ワシントン条約」を批准しているので、禁輸前の象牙ストックで印鑑生産を行っている。
GOOSE HOUSE
ZOUGE STOCK
メモに書き並べたが、きっと一生役に立たないだろう。
サインが一般的な海外と比べて、大事なモノを管理できる日本人らしい文化、という見方もある。ハンコの必要性に疑問は残るが、はたしてハンコ屋の商機は増えるのか、減るのか。
この日の夜。ハンコに関連して、ふと“日本の苗字ランキング”が頭に浮かんだ。そこで『羊が一匹』の手法を拝借し、「佐藤、鈴木、高橋・・田中?」と諳んじるうち、序盤で停滞し、意識は遠のく。
今後、さまざまな背景(事情や意思)で苗字を変える人が増えるだろう。その時、佐藤さんは増えるのか、減るのか。やがて意識の外側、つまり夢の中で、見覚えのないラッパーが「佐藤」と「ガチョウ」で韻を踏んだ。半年ぶりに見た夢で、ガチョウにガチョウを料理された。今夜はけっこう冷えるが、ふとんの中はあたたかい。プラマイゼロでガチョウを許そう。
【18位】: 斎藤 約545,000人
【19位】: 林 約542,000人
ここが一番僅差で、逆転のワンチャンス。
念のため、メモに書き並べる。
「サブスク サブスク フィオー フィオー」
今だから告白する。1年半ほど前、「サブスク」という言葉を知ったかぶりした。みんながサブスクSABUSUKUと鳴いていたあの日、帰りの電車で調べた。あやうく勘違いするところだった。やっぱり、帰り道っていいなぁ。
所有しない、体験する、共有する。サブスクの普及により、家で快適に過ごすためのコンテンツは飛躍的に充実した。心を満たすことで、私たちは前向きに、慎重に、目の前の状況と向き合う。一方で心配なのが、体への負荷だ。
視力が落ちている気がする。最近は、朝起きて目がシパシパすると、ベランダに出て遠くを1分間眺める。今日もゴミ収集車が、いつもより膨らんだ家庭ゴミを乗せて、商店街へトコトコ走ってゆく。
てことは・・
眼鏡がもっと売れるんじゃないか?
コンタクトも考えられますけどね
在宅時間が長いと、見た目を気にしなくなるから眼鏡だな
そういや髪もしばらく切ってないわ
ヒゲも剃らなくなるし
髪染める人も減りそうっすね
てことは・・
地球がすこし黒くなる
ガガーリンレベルっすか?
ちなみに僕、眼鏡にはこだわってて
へぇ
知らんけど
おっ かわいい
ほーら、イケメンのおじさんやぞ
全然聞いてねぇわ
こっちを見てすらいない
坂本龍馬の角度
ということで、眼鏡をかける人が増えるかもしれない。
▼国産メガネフレームの9割は、福井県で作られている。
(引用:https://imacocollabo.or.jp/municipality-case/20180104_sabae/)
<抜粋:Wikipediaより>
鯖江市は福井県にある市。総人口: 68,629人。多くの世帯が、特産である眼鏡関連の産業、あるいは業務用の漆器生産に関わっている。近年は、オープンデータを活用した「データシティ鯖江」の推進や、女子高校生視点によるまちづくりプロジェクト「鯖江市役所JK課」の設置など、地域活性化に向けて新たな自治体モデルを模索している。
同市には、「日本一小さな動物園」がある。そこには、日中友好のシンボル・レッサーパンダをはじめ、タンチョウヅル、リスザルなどが飼育されている。
▼ライブカメラ配信を行っており、自宅で観覧することが可能。
www.city.sabae.fukui.jp
飼育されているのは、計14匹。(※20年4月HP情報より)
マナカナの識別も自信がない私は、全員の名前を覚える方法を考えた。コーヒーの飲み過ぎで眠れない日が続くあなたへ。羊の代わりに、このフレーズを口ずさんでほしい。
【※名前一覧】
ミルキー、ひかり、たいよう、ティアラ、ライト(オス)、ミンファ、ムータン(オス)、キラリ、ヤンヤン(オス)、モッチー(オス)、まつば、かのこ、ニーコ、レイファ
<あとがき>
独身サラリーマン・小松原(42)の日常を描いた本作は、わが師・象牙崇徳の真骨頂ともいえよう。持ち前の構成力で、「何でもないようなことの幸せ」を、実に優しく照らしている。
少しだけ本編に触れよう。第3章で登場する、人格を持ったぬいぐるみ・キティ(小松原が姪っ子からもらった)こそが、物語のスパイスだ。逆に第2章までは、主人公の平凡な暮らしが淡々と流れる。Youtubeで流行りの「1人暮らしのルーティン動画<休日編>」とどっこいだ。(しかし、この焦らしこそが“象牙マジック”と呼ばれる所以であることは、皆さんもご存じの通りだ)
この技法を愛する読者は、人気お笑いコンビ「和牛」の“ネタ序盤の静けさが好き”という、表現を超えた共通項もあるようだ。しかし一方で『象牙作品は3章から』という、「野球は2アウトから」的な標語も多く聞かれる。
“マイペースな兄やん”小松原は、自宅にいるキティやその仲間たちから「ヤンヤン」の愛称で親しまれる。ただ丁寧な暮らしを送る男と、キティたちが放つ、彼への熱い想い。このギャップが、愛おしい伏線を張り巡らせるのだ。そして最終章(表題:「sing or sign」)、小松原の宝物である印鑑の失踪をきっかけに、同僚の斎藤と林による騒動が・・・おっと、この先は読者の皆様の目で直接確かめてほしい。
なんだこのつまらなそうな作品は。
レッサーパンダ14匹の名前を並べて、意味の通る文章を作ろうとした挑戦。結果的に、“ミンファ(メス)”を入れることが出来ず失敗した。2時間かけて考えたので、悔しさは残る。
GOOSE HOUSE
ZOUGE STOCK
PANDA SORT
なんかカッコよくなった。
(アウトレットに並んでそう)
福井県・鯖江市の眼鏡生産量は、伸長するだろう。眼科検診は、視力検査のCがどんどん大きくなる。スターバックスのロゴの女性のように、目の前まで近づいてくるかもしれない。落ち着いて、Cの開いているスペース(C←ココらへん)に身を寄せて、かわすのだ。
そうやって、息をするように工夫して、 楽しみ方を見つけていこう。
「くふう」と声に出せば、肩の力は抜ける。
【終】
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*とにもかくにも、「判断力」が問われる状況。この先起きること、想像することも大事だと思います。そこに視野を向けつつも、いまこの時、少しでも気持ちがほぐれるような話を作りたいと考えた企画でした。
<参考>
・ガチョウの飼育
【URL】:http://zookan.lin.gr.jp/kototen/gakko/gacho2.html
・「ガチョウを料理する」
【URL】:https://www.eigo-eikaiwa.com/0229.html
・ハンコの歴史
【URL】:https://www.inkan-ichiba.com/user_data/about-inkanhistory.php
・苗字ランキング
【URL】:https://myoji-yurai.net/prefectureRanking.htm?pref=0
<補足>
・選択的夫婦別姓に関する議論
【URL】: https://www.asahi.com/articles/ASN1W65V0N1WUZPS002.html?ref=rss