第16話 星の瞬く夜にITを(キカクシリーズ「岐阜編」)
こんにちは。
<前回までのあらすじ>
社会人2年目の私は、オシャレさに憧れて初任給でMacを購入したものの、YouTubeとZOZOTOWNしか使いこなせない日々に辟易し、「もっとITを駆使している感を醸し出したい」と感じていた。
そこで、
有名IT企業に勤める旧友・二嶋と
(本人のFacebookより引用)
“こだわりの使徒” こと世界と共に、
(本人のFacebookより引用)
観光資源をただ享受して楽しむことよりも、
ITを駆使している感を醸し出すことを目指した
企画シリーズ「思い出よりキカク」を始動。
『3人体制の初陣』として幕を開けた第3回キカク
「三十三観音巡り編」は、序盤から“キカク”の過酷さを再認識させられる道程となる。(二嶋はトラブルのため離脱)
“ただ場所を巡るだけ”の挑戦はキカクと呼べるのか。
そんな自問自答をしながら我々は、日没迫らんとする空に煽られて第7番礼所「宗久寺」へ向かうのであった。
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ーーー冬晴れの空の下。
時刻は16時を過ぎた頃。
我々は焦っていた。
(http://love-to-all.jp/renaisinri1122/)
2日間で33カ所巡ることを考えると、今日中に少なくとも10カ所は攻略しておきたい。
というのも、下記地図のうち
南端に位置する16番・17番へ午前中には辿り着きたい明日の行動予定を考えると、短距離圏内に分布する序盤(1〜10、11番)はハイペースでクリアしておかなければならない。
「今日は必ず10番まで行こう」
「そうだな」
「なんだこの“消化試合”感は」
「時間に追われるのはIT感が足りないからか?」
「だろうね」
IT感のない話し合いをしていると7番に到着した。
ここで、我々はついに“あるもの”を発見する。
【第7番礼所 宗久寺】
「おっ」
「ついにいらっしゃったな」
観音様、登場。
世界はカメラモードに入った。
門松もスタイリッシュ。
年末に訪れなければ見られない画である。
季節感があった。
ちなみに引きはこんな構図だ。
私も写真を撮った。
2日後にデータが全て消えるとは夢にも思っていない。
さて。
アングルにこだわって写真を撮っている場合ではない。
世界はいそいそと車へ向かった。
「先を急ごう」
「日没まで時間がないぞ」
「いや、ちょっと待って」
私は世界を制し、一目散に駆け出した。
※イメージ図
アレを発見し、世界を制した。
実はこの第7番礼所・宗久寺
お馴染み「あけてつ」線路近くに位置しているのだが、
1時間に1、2本しか通らないあけてつ車両が、
夕暮れに美しく染まりながら眼前に現れたのである。
壮大すぎる光景。
「これが岐阜編だよ…」
「すげえなこれは」
ーーー世界はシャッターを切った。
ぱしゃり。
あまり伝わらない仕上がりになった。
ちなみに引きはこんな構図だ。
本当にキレイな夕日だった。
「さて、先を急ごう」
「はい」
【第8番礼所 禅林寺】
少しずつ寒くなってきた。
道中で出会った人に話を聞いたのだが、恵那市の冬は積雪が少ない代わりに相当冷えるらしい。
「今日残すはあと2つだ」
「さみいな」
我々は移動中、夕飯の計画を立てた。
「夜飯は何がいいかな」
「美味いもん食べたいね」
「恵那って名物とかあるの?」
「寒天かな」
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「焼き肉もいいなぁ」
「寒天は?」
「そろそろ着くぞぉう」
「おい寒天」
※イメージ図
【第9番礼所 万岳寺】
立派なお寺である。
世界と私は「ITチャンス」を感じとり、
ついにMacを構えた。
(※ITチャンス:ITを駆使している感を醸し出す好機の意。)
①プロフィールにありがちなトーンオントーン配色。
Macがいい味を出しているが、いかんせん寒い。
②カフェで繰り広げられる、学生団体のミーティング。
テーブルのオシャレ感は劣らないが、いかんせん寒い。
Macがキンキンに冷えている。
これはITチャンスならず。
非常に惜しかった。
【第10番礼所 東光院】
レンタカーを返却し宿へ行こうと私が提案すると、
世界はひとつ素朴な質問をした。
「ここって星見えるのかな」
「東京よりはかなり見えるはず」
「撮影しに行かない?」
「え」
「岐阜編に新しい風を起こそう」
「風を起こす前に風邪を引いてしまうよ」
「星空にもITチャンスだ」
「そういえば」
「仙台にいた頃、先輩に教わった」
「大久保くーん」
「365日がシャッターチャンスなんだよぉ」
「にしても今日は寒いな」
「ああ、寒いな」
「ITを全然駆使出来ていない」と揶揄されて久しい岐阜編も、新しい仲間・世界の加入により、IT技術で素敵な星空をお届けするロマンチックシリーズとなる。
私は、寒さをこらえながらそれ以上のワクワクを胸に、世界の撮影にお供することにした。
というわけで、この日の〆は世界が撮影した
タイトル:「まあまあ満天の星」
「おい」
「意外と見えねえぞ」
「空のせいにすんなよ」
ーーー「明日、残りの23カ所を回りきれるか」
まあまあ満天の星空を眺めながら、
まあまあの不安に私は駆られていた。
満天じゃないくせに、空は遠く大きく見えた。
巡った観音様:10/33カ所
(「岐阜編」第16話 終わり)
※実際はかなり満天でした。
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